
会社員を辞めて個人事業主になると避けられないのが、税金の計算と納税です。会社員の頃は会社が計算をして代わりに納税をしてくれていましたが、個人事業主はすべて自分で行わなければなりません。
ここでは個人事業主が納める税金の解説と納税時期、納税方法について解説していきます。
個人事業主が収める税金
個人事業主が収める税金には、所得税・消費税・個人事業税・住民税があります。
所得税と消費税は「国税」で、個人事業税と住民税は「地方税」となっています。
所得税
1年間に稼いだ所得(利益)に対して課される税金で、個人事業主の支払う税金の中で最も大きな割合を占めます。所得とは、売上から経費などの支出を引いた金額のことをいいます。「売上金額」ではないことに注意してください。
個人事業主は自分で所得を計算して税務署に申告する必要がありますが、これを確定申告といいます。
所得税納付額の計算式
1年間の収入−必要経費−各種控除=課税所得金額
課税所得金額×税率−課税控除額–税額控除額=所得税額(納付額)
個人事業主には多くの「経費」が認められています。所得税は所得にかかる税金のため、経費が多くなれば(所得が下がれば)、所得税が少なくなります。
なお2013年から2037年までは、各年分の確定申告の際に所得税に加えて「復興特別所得税」を納めることになっています。復興特別所得税の税率は、各年の所得税額の2.1%です。
(復興特別所得税とは、東日本大震災復興の財源に充てられる税です。)
納税時期
所得税の納付期限日は確定申告の期限日と同じで、基本は3月15日です。なお事前に振替納付を申請しておくと4月中旬頃に振替されます。
納税方法
税務署や銀行の窓口、クレジットカード支払い、ネットバンキングによる電子納税、銀行口座から振替納税などさまざまな納税方法が用意されています。
消費税
年度の売上が1,000万円以上になった場合に発生する税金です。つまり売上金額が1,000万円以下の場合、消費税の納付が免除されます。
さらに開業してから2年間は消費税を収める必要がありません。1年度の売上が1,000万円以上なければ納税対象にならないので、条件に該当せずに納付しなくてよい個人事業主も多くいます。
納税時期
消費税の納付時期は、毎年3月31日までとなっています。
納税方法
税務署または銀行窓口、銀行口座から振替納税、ネットバンキングで電子納税する3つの方法があります。
個人事業税
個人事業主に対して、その「事業内容」に応じて課税される税金のことです。税率は3〜5%に設定されており、確定申告をしている場合は別途申告する必要はありません。
なお所得が「290万円を下回った場合」は、納付が免除されます。さらに個人事業税は経費として処理できます。課税対象の場合は、地方自治体から納税額と納付方法の通知が郵送で届きます。
納税時期
納付は8月と11月の年2回です。
納税方法
個人事業税の納付は、都道府県税事務所や公金収納を取り扱っている銀行、信用金庫、郵便局の窓口で行うことができます。事前に申請を出しておけば銀行口座などから口座振替することも可能です。
また、1回分の納税額が30万円以内の税額通知書であれば、コンビニで納付ができます。
住民税
個人事業主が事務所を構えている都道府県、市町村に納める税金のことです。住民税は、「均等割」と「所得割」があり、この均等割と所得割を合計した金額を納めることになります。
確定申告をおこなっていれば、毎年6月に納付書が送られてくるため、別途申告は不要です。
均等割は、平等な金額を課されます。大半の地域で4,000円〜5,000円前後です。(1年分)
一方、所得割は前年度の所得に応じて金額が決定されます。
納税時期
6月に1回払い、もしくは「6月、8月、10月、翌年1月」の年4回払いにて納税します。
納税方法
個人事業税と同様の納税方法があります。
まとめ
個人事業主は納税する税金には、所得税、消費税、個人事業主税、住民税があることを解説してきました。確定申告をすれば納税書が送られてくるので、それで納税をすればよいのですが、それぞれの税金について知っておくことは会計管理をする上で知っておくべきことです。
これを機会に税金について調べることも良いでしょう。